スクリーン印刷は孔版印刷の一つで、版にインクを付けるのではなく、版自体に穴を開けてインクを擦り付けます。まずスクリーンの周りを引っ張って枠に固定し、その上から手作業で膜を作ります。これによって必要な絵柄以外のスクリーンを塞ぎます。次にインクを入れてスキージというゴムベラでスクリーンを押さえながら動かします。
インクが膜がない部分のスクリーンを通って、版の下に描いた絵柄のみが現れます。かつてはスクリーンに絹を使っていましたが、現在はナイロンやステンレスの針金を用います。紙だけでなく、ガラスやプラスチック、金属、合成樹脂など多くの素材に印刷することができます。また平面にこだわらず、コップのような円筒形や円錐形、曲面にも対応しています。
スクリーン印刷は富山の常木という人が、型紙に絹を張る方向を思いつき、普及したことが始まりです。大正6年には常木がゼラチンで写真製版法の特許を取るという大きな発明もありました。アメリカに出かけた万石和喜政がスクリーンを使った日本の大発明に興味を抱き、アメリカ人に広めました。しかい大正の大発明だった方法は、それほど発展しませんでした。
戦後になって大きく発展をし始め、電子工業会に広く使われています。電子機器の基盤、パソコンの液晶に利用されます。またプラズマディスプレイパネルや、クリーンなエネルギーとして知られる燃料電池にも応用され、最先端技術の一翼を担っています。